親知らず
親知らずについて
親知らずとは
親知らず(智歯)とは、永久歯が生え揃った後で1番奥に生える第三大臼歯のことです。お口の中に親知らずの生えるスペースがないとき、その親知らずが原因で周囲の歯や歯肉が炎症を起こすことがあります。炎症が悪化すると、お口全体を守るために抜歯をすることがあります。
親知らずが生える年齢
通常の永久歯は、15歳前後で生え揃います。しかし、親知らずが生えてくる年齢は、10代後半から20代前半頃に多く、通常の永久歯と比べて遅いです。なかには30代や40代、50代でも生えてくる方もいらっしゃるため、生えてくる年齢には個人差がかなりあります。また、親知らずが生えない人、上下左右の4本揃わない人や元々存在していない方など様々です。
親知らずが生えてくる年齢は個人差があり様々ですが、3〜4歳頃から顎の中で作られ始め、約8〜10歳頃にはレントゲンに写ってくるようになります。現代では、柔らかい食べ物を食べることが多く、顎が細く小さい方が多くなっているため、親知らずが生えてこない方が増えています。
親知らずの痛みの原因について
親知らずは生えてくる途中で歯茎が被ってしまったり、横向きに生えてしまっている場合、親知らずに汚れが溜まりやすい状態になっています。親知らずは、1番奥に生えてくるため磨きにくく、溜まった汚れにばい菌が繁殖しやすく、歯茎に炎症を起こしやすいです。
そのため、感染が起こると頬やあごの腫れ、のどの痛み、筋肉の炎症、発熱といった激しい症状がおこります。
親知らずによる症状
- 親知らず周囲の歯茎の腫れ
- 歯茎や、のどの痛み
- 頭痛・肩こりなど筋肉の炎症
- 発熱
親知らずと歯並びの関係性
親知らずの生え方にもよりますが横の歯に引っかかるように生えている場合は常に横の歯を圧迫している状態になっていますので、歯並びに悪影響を及ぼす場合があります。まっすぐ生えている場合は問題ないですが、歯茎に隠れて頭が少し出ている場合や、横向きに生えてしまっている場合は問題です。
歯は頭の方向に常に動いてくるので、横の歯を無理に押し出して出てきたりしますので、徐々に手前の歯を圧迫していき、知らないうちに歯並びが悪くなってしまうことがあります。
矯正の際の親知らず抜歯の意味
矯正で歯を動かした後は、完全に骨にくっついていない状態なので、歯が元の場所に戻ろうとします。せっかく歯並びがきれいになったのに、親知らずが手前の歯を押し出してくることで歯並びがまた悪くなる事もありますので、抜歯をさせていただく事もあります。
親知らずを抜歯する際の
医院の選び方
口腔外科も行っている
歯科医院を選択しましょう
CTと呼ばれる顎の骨を三次元的に撮影し、診断できるレントゲンがある病院をおすすめします。
上の顎の親知らずなら上顎洞と呼ばれる副鼻腔や、下の親知らずなら下歯槽神経と呼ばれる神経があり、体には抜歯の際に注意しないといけない部位があります。
安全に抜歯を行うには、術前の診断が大切です。手術スペースとして個室のクリーンルームがあるとその空間は感染防止になって、清潔な環境となり、抜歯を安心して治療を受けることができます。
親知らずの抜歯
抜歯すべき最適な時期
はっきりとした時期と言うよりは、親知らずがあることで周りの歯にデメリットをもたらす場合は、抜歯をしたほうがいいです。例えば、親知らずのところまで歯ブラシが届かず虫歯のある方や、度々炎症を起こして痛みのある方です。横向きに生えていて、汚れが溜まりやすいのと将来的に横の歯を押し穴を開けていきそうな歯も抜歯を検討したほうがいいでしょう。
また、妊娠を控えている方も妊娠中のリスクを減らすために抜歯をした方がいい場合もあります。
抜歯の難易度について
まっすぐに生えている場合
抜歯の難易度
簡単
抜歯にかかる時間
1〜5分
抜歯の費用
900円ほど
+パノラマレントゲン1,260円
横向きに生えている場合
その他、斜めに生えてるが、
浅い位置にある場合
抜歯の難易度
普通
抜歯にかかる時間
5〜10分
抜歯の費用
1,500円ほど
+パノラマレントゲン1,260円
埋まっている場合
その他、神経に近い、
かなり深い位置にある、
根っこが分かれてる場合
抜歯の難易度
難しい
抜歯にかかる時間
15〜20分
抜歯の費用
3,000円ほど
別途神経が近くてCTを撮るケースは
CT代3,500円ほどかかります。
必ずしも抜歯しなくて良いケース
- 現在妊娠をしている、または授乳中の方
- まっすぐに生えていて、歯が健康な状態の方
抜歯後の腫れについて
通常どの程度腫れますか?
問題なくまっすぐ生えている親知らずの場合、歯茎が腫れる心配はほとんどないです。しかし、斜めに生えていたり真横に生えている場合は、歯茎を切開したり骨を削る場合もありますので、腫れる可能性は高くなります。
腫れる期間はどのくらいですか?
親知らずが歯茎に埋まっている場合は、歯茎を切開して抜歯を行なっていきます。その場合はある程度晴れる可能性があります。上顎の親知らずの場合、腫れは軽いことが多く数日で腫れはひきます。
下顎の親知らずの腫れは、3〜4日目をピークにゆっくりと腫れがひき、約1週間程度で回復していきますで落ち着いてくれることが多いです。親知らずの状態によって腫れる場合とそうでない場合がらあり、個人差もあります。
危険な腫れ方はありますか?
1週間以上腫れが治らない場合は、細菌感染の可能性があります。抜歯した場所に汚れが溜まり、細菌が繁殖することでおこります。膿が出てくるようになるので、膿を出す処置と抗生物質が必要です。
抜歯後の注意点
出血
抜歯後は出血があるので、15〜30分ガーゼを噛んでいただきます。血が止まらないようでしたら、新しいガーゼを噛みなおして下さい。唾液に少し血が混じるぐらいなら心配いりません。 再度出血する場合もあるので、当日はうがいのやり過ぎに注意して下さい。うがいする場合はぐちゅぐちゅと強くうがいをするのではなくて、水を口に含んでゆすぐ程度にしてください。
抜歯箇所
抜歯したところを指や舌で触らないようにお願いします。
運動や飲酒
当日は過度な運動や飲酒、入浴は避けてください。血圧が上昇することで痛みの原因になってしまいます。入浴はシャワーを浴びる程度ですましましょう。
お薬
処方されたお薬は指示通りに服用して下さい。アレルギーやじんましん、その他何か異常があればご連絡ください。
歯磨き
歯磨きは抜歯したところは避けて磨いてください。歯磨き粉はあまりつけないようにして下さい。歯磨き粉をつけすぎると、うがいの回数が増え、出血の原因になってしまいます。
腫れ
親知らずを抜くと、歯茎や頬が大きく腫れることがありますが、1週間ほどすれば落ち着いてくることがほとんどです。腫れがひどい時は、水で濡らしたタオルで頬を冷やすと楽になります。ただし氷などで過度に冷やすと逆効果になるので注意して下さい。
抜歯前の注意点
体調
前日は体調管理をしっかりして十分な睡眠をとってください。睡眠不足で麻酔をすると気分が悪くなる時があります。
食事
ご来院前に食事をとってください。抜歯して1〜2時間は麻酔が効いていてその間は食事で唇や頬を噛んでしまう危険があるので、食事は控えてください。
喫煙
抜歯前に喫煙をすると血液の流れが悪くなり、傷の治りが悪くなるので前日から禁煙をおすすめします。
親知らずを
抜歯する際の流れ
表面麻酔を行い、患部に麻酔をします。下顎は骨が硬く効きにくい場合がありますので、電動の麻酔を用います。探針などで麻酔が効いているか歯と歯茎の境目をさして確認します。
歯茎に埋まっている場合
切開をし、歯茎を剥離しめくります。
横向きに生えている場合
手前の歯と引っかかっている限り抜けないので、削ります。
- ヘーベルと呼ばれる器具でテコの原理を使い歯を脱臼させる
- 抜歯鉗子を用いて歯を抜く
- 周りの歯茎の汚れを取り除く
- 場合によっては縫合する
- ガーゼを30分噛んでいただく
親知らず抜歯で
よくあるご質問
どんな時、
親知らずが痛くなりますか?
親知らずが痛くなる時は、細菌感染を起こし周りの歯茎が炎症することでおこります。1番奥なので単純に磨きなくて汚れが残ることと、斜や横に生えていて磨けなく汚れが溜まることでおきます。
親知らずが
また生えることはありますか?
一度抜いた親知らずは、再び生えることはないです。
抜かずに治す方法はありますか?
痛みの原因は細菌感染なので、患部を洗浄して汚れを取り除き、抗生物質と痛み止めで細菌を倒すことでおさまります。しかし、そこに親知らずがある限り再び汚れが溜まるので、また痛みが出てきてしまいます。痛みを繰り返すなら抜いた方がいい場合もあります。
抜けなくて途中で
中止されることはありますか?
- 抜歯していて麻酔が効かなく痛みが強い場合
- 親知らずと骨が癒着と言ってくっついてしまっている場合
- 根っこが曲がっている場合
また、患者様の体調により、これ以上続けると危ないと判断した場合は中断するケースもあります。
親知らずが虫歯になると
抜歯は難しいですか?
虫歯になって親知らずが抜けない事はありません。歯を抜く時は鉗子と呼ばれるペンチみたいなもので掴んで抜きます。しかし、虫歯になると歯が柔らかくなり掴んで割れてしまったり、歯の頭が虫歯でなくなっていて掴むところがないと、抜歯の難易度は上がってしまいます。虫歯が大きくなる前に早めに抜歯をすることをおすすめします。
親知らずを抜くと
小顔になりますか?
親知らずを抜く事でかなり小顔になることはほとんどありません。しかし、レントゲンで1〜2ミリほど顔が小さくなる方はいらっしゃいます。親知らずを抜くことで顔が変化する原因は、歯を抜くことで歯を支えている周りの骨が痩せていくからです。
エラが張っている方では、下の親知らずはちょうどエラの部分にあるので、下親知らずの抜歯によってそれまで親知らずを支えていた骨が痩せていき、エラが小さくなることがあります。上の親知らずを抜くと頬骨の下に上の親知らずは位置しているので、頬骨の出っ張りが減り、小顔になるかとがあります。
親知らずを抜くことで、親知らずが噛むために使っていた筋肉が衰えていきます。いままで親知らずがある顎で噛んだいた方は、その分顎の筋肉が発達していますので、親知らずを抜くことによっては小顔になる効果は出やすいです。親知らずが完全に埋まっている場合はそもそも噛むために筋肉をつかっていないので抜歯しても小顔効果はありません。